2015年7月1日水曜日

マンゴー色のシャツ


アウトドア・ブランドとしては1990年代に人気の第一黄金期を迎えたパタゴニア。「ウエアはファッションではなくイクイップメント(道具)である」とうたう製品づくりに、ぼくも心酔したひとり。新しいカタログが届いた当日、完売してしまう前に、眼についたものをあわててオーダーしたものです。ラインナップの多くに採用され、ブランドを象徴するカラーとなったのがオレンジに近いマンゴー色。自然のなかでも目立つため、自分が風景の一部として写りこむ可能性がある取材では、ビジュアルのアクセントとなるべく、マンゴー色のウエアを身にまとっていくようにしていました。



20年前、日本初のシーカヤック専門誌を、ジャーナリスト内田正洋さんと一緒に制作したとき、パタゴニアは内容と出版の意義に賛同し、広告を出稿してくれました。久留和海岸沖を漕ぐ、マンゴー色のアノラックを羽織る内田さん。その写真の下にレイアウトされたのは、汗を素早く乾かす最新素材キャプリーンでつくられ、シーカヤッキングにも最適なTシャツでした。このシャツも当然、購入したものの、洗濯方法を誤り、生地を縮ませてしまってから行方不明に。それを先日、見つけ出して、着てみたら、スリムになった今の体型にジャストフィット。嬉しくなって、早速いつものランニングに着て行ったのでした。20年経っても速乾性は変わらず。色の効果か、歩行者も遠くから気づいてくれて、道を空けてくれます。背面にはエナジーフーズを入れるポケットが付いている。ウエア=道具を象徴するかたち。そして、ポケットの縁にのみロゴマークを配置するさりげなさ。そのテクニカルな仕様と、小粋さのトリコとなっていた日々を懐かしく思い起こしました。

SIGMA DP3 MERRILL