突然、遠い遠いところへ旅発った恩師を偲ぶ会へ。横浜中華街そばの会場には、愛でた物が飾られ、そのつくり手が全国から集う。たくさんの好きな物と工人のなかでも、とりわけ敬慕していたのが倉敷ガラスと小谷真三さん。不世出の造形感覚と美意識から生まれる美しく健やかな吹きガラス。
恩師が小谷さんのことを語るときの目の輝きを忘れられません。自身の暮らしの空間にもきっと惹かれた吹きガラスを置いて心なごませていたのでしょう。
小谷さんを訪ねるときは、いつも首にかけていたらしいガラス玉。シンプルなかたちなのに、どうしてこれほどまで魅力的に見えるのだろう。
終始、沈んだ表情で肩を落としていた小谷さん。いまだ信じがたい喪失感を誰よりも強く感じておられるようでした。
来場した人全員に配られたのは、小谷さんが吹いたぐい呑。優美なカーブがすっと手に馴染みます。
家に帰って、恩師からいただいたガラス玉と通し紐として勧められた間々田紐を並べ、泡盛の古酒で献杯。小谷さんのグラスは美しいだけでなく、お酒の格別においしくする魔法にかける。個性的な古酒が洗練を帯び、高貴な味に昇華したように感じました。
LEICA M-E SUMMILUX50mm