麗らかな春の土曜日。クロスカブを1,000km点検で逗子の石渡輪業に診てもらう間、鎌倉まで歩いて行くことにした。道端の新緑が眩いほど輝いている。
鎌倉の湿度と潮風でエイジングされたドアノブに眼が留まる。鎌倉大町に入ると、たちまち雰囲気の佳いものに出合える。歩行者限定の、眼のご褒美。
花咲く寺が多い地域。可憐な色彩が次々に現れ、なかなか前に進めない。
この素朴な文字が大町らしいと勝手な印象をもつ。
路地裏の仕事場。鎌倉は働き者のカブが多い。荷台のケース、その簡素な固定法を見て識る。なるほど。
日常に花がある。華を気軽に楽しむという意味で鎌倉市民はじつに達者。花や緑が街の景観を魅力的にしている。まるで南イタリアみたい。
農連市場を覗く。タケノコが旬。
そして散歩の主目的、パタゴニアストアで修繕が完了したシンチラウエアを受け取る。
スナップTは胸のボタンが一つ取れていたのを直してもらった。そのボタンだけが色鮮やかで、外見のさりげないアクセントになっている。世界で一着だけの特別なスナップTになり、さらに愛着が増す。
「Beach Dog's Cafe」が珍しく朝10時過ぎに開いていた(笑)。久しぶりに会った店主の魚住さんと、桜吹雪を浴びながら、もろもろ積もる話を交わす。
相変わらず若々しい服装。洒脱さも、とぼけたキャラクターも少しも変わっていない。スニーカーは原宿のオシュマンズとかでセール品を選んでいるそう。「派手すぎる色だから売れ残っているんだろうけど、そのなかにけっこう良いのを見つけられるのよ、どうして買わないんだろうね」と魚住さん。選ぶセンスがある人には、東京は買い物天国だ。
品揃えがカワイイ路線からシックなテイストに様変わりしていた。ハワイのブランドとタイアップしたオリジナルTシャツや、メイドインオアフの刺繍バッグがいい感じ。さすがのセンス。
魚住さんもまた、ちっとも枯れていない。こんなリスペクトできる先輩のスタイルとセンスを学びたい。
SIGMA DP3 MERRILL 75mm