正方形の写真が好きになったのは美術作家、永井宏さんの影響かもしれない。25年前、葉山に移住したとき、葉山一色郵便局上のギャラリーで絵画作品とともに展示されていたローライフレックスによる正方形フォーマットのプリント写真。そのましかくに切り取られた風景の心地よさに強く惹かれて、ぼくもハッセルブラッドを手に入れ、中判写真撮影を始めた。
居間に設えた学習机の正面、漆喰壁にはハッセルブラッドでスナップしたポートレイトを飾っている。その横に並ぶのは永井さんの作品。展示作品のひとつを買いたいと申し出たら、「君にふさわしいものがあるから」とアトリエから魚と海藻を描いた作品を持ってきてくれた。初対面で素性不明な男になぜ、これがふさわしいと直観が湧いたのか。海に潜る仕事をしていた当時の自分を雰囲気から察してくれたのか。永井さんの神秘的な想像力を想いながら、改めて日々鑑賞している。
LUMIX GF1,MACRO ELMAR 90mm / f4