2017年3月31日金曜日

深川の運河


日本橋から出航する舟に乗り、江東区の運河をクルーズ。水辺の桜鑑賞を目的に催行されたのだけど、残念。時期尚早。今回はロケハンに徹したという感じ。




隅田川から大横川に入り、平久川、仙台掘川、小名木川へとめぐる。越中島、門前仲町、木場、深川、清澄、高橋あたりを縦横に流れる運河。大名屋敷が集まっていた外堀の日本橋川周辺と違い、庶民が暮らす街だけあって水辺の景色や空気に、より親しみをもてる気がします。桜の時季こそ観光客を乗せた小舟が行き交うものの、ふだんは穏やかに、のどかに流れる水を眺める日常。地域住民が羨ましい。


とくに印象に残ったのは大横川の、越中島から門前仲町にかけての水域。


岸に寄り添うグレー色の武骨な倉庫やモダンな小建築、水面に垂れる桜の枝ぶりなど、じつに絵になるんです。この地域は佃島で育った子ども時代から、好んでジョギングしていたところでしたが、桜が満開となり、劇的に風景が変わるさまは、目にしてこなかった。




和舟で30分ほど、このハイライト・エリアをめぐる「江戸深川まつり」が4月9日まで開催。手漕ぎ舟の乗船料金は500円。来週、ぜひ再訪してみよう。


幼少時からずっと存在が気になっていた小名木川。旧中川と隅田川を結び、まっすぐ広く街を貫く。行徳の塩を江戸に運ぶため、徳川家康が運河を開削させた。ひっそりと流れる小運河と異なり、悠然とあけっぴろげの開放感があり、工事や浚渫、清掃用の立派な業務船も行き交う。その活気ある水運の営みに触れながら、自分は物流の道としての役割を終えた、狭く浅い小運河により惹かれるのかもしれない、と感じていました。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.