相模湾からの湿った空気を留めて雲が沸きやすい伊勢原市大山。雨に恵まれる「あめふり」の山として古来から雨降り信仰の中心地だった。その麓を目指して葉山の家から車で1時間半ほどドライブ。週末なのに道が空いていて、こんなに近かったのかと意外に思う。
市営大山第一駐車場に車を停めて、まずは川沿いの集落を散歩。
紅葉時季が過ぎたタイミングだったため、観光客が少なく、あたりは静まりかえる。
静寂と山影の陰影に心が鎮まる。随所で落ちる滝には虹が架かる。
道端の祠には神秘の気配が満々。木地師や大山詣での導師が暮らしていた地域。
清流と霊気。清浄な気が流れる集落の日常を想像する。ふるさと的な風景に胸がキュンとなる。
このプチ旅の第一目的は、大山独楽・玩具の製造元「はりまや」を訪ねることだった。
伝統的な独楽も佳いが、自由奔放な絵付けにより惹かれる。

眼が醒めるような色彩。大らかなかたち、素朴でてらいのない絵、文様。独楽同様、昔から地域で作られてきたという玩具が素晴らしい。その存在を知ったのは青山「オーパ・ショップ」で新春に催される「日本の郷土玩具」展示即売会。全国から魅惑の郷土玩具を集め、紹介するイラストレーター佐々木一澄さんに導かれ、つくり手に会うことができた。
キッチュな色彩が爆発。ひとつひとつ大きさもかたちもバラバラ。播磨さんは「多少違います」と言うが、全然違う(笑)。その創作に作為がないことに感銘を受ける。これぞ日本の誇るポップアートと言ってよいのではないか。
丈夫で子供の乱暴な扱いにも耐えるのが木製玩具の美点。播磨さんのは、独楽みたいな車が付いている可動式の玩具が多い。素材は十分に乾燥させたミズキという木材。
ぼくがいちばんに欲しかったのは「りんご籠」という玩具。2年前の展示に並んでいたとき、まっさきに眼が留まったが、買い逃してしまい、ずっと後悔していた。播磨さんに連絡して訪問を予約し、取り置きしておいてもらった。想いがかない泣きそうになる。佐々木さんはつくり手に感謝のしるしとして、律儀にも木工玩具の絵を贈っている。その絵が額装され、届いた日付を添え、大事にそうに飾られていた。相思相愛の美しい情景。播磨さんにはコレクターに頼まれて訪問時に製作中だった玩具「乳母車」を自分の分も、とお願いした。これで、また年明けに播磨さんに再会できる。嬉しくてたまらない。
続く。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4











