2018年3月6日火曜日

満月の春、門仲で呑む


春一番の風が吹き荒れた満月の晩、先輩編集者Fさんと門前仲町で呑む。築地の仕事場から新川や湊町の運河と隅田川、水辺伝いに待ち合わせ場所へ。このルートは東京では珍しく街灯の暗い路地を抜ける。池波正太郎が愛し、時代小説の舞台に選んだ地域だ。水の湿度を感じながら、しっとりと情趣豊かな雰囲気を愉しむ。そんな快楽的な気分に浸れるものだから、地下鉄ではなく、ゆっくりと歩いてかつての花街に向かいたくなるのだ。


立ち呑みでワインのデキャンタをいくつも空け、ラーメンを食べ、締めにスイーツ。いつもの流れで、時を忘れて会話を愉しむ。旅や趣味の話題は互いに尽きることがない。さらにはコンビニのアイス片手に、深夜1時過ぎに古石場川親水公園でおしゃべり。


真夜中に活動する小津橋近くの鴨。こんな水辺がある町には江戸の空気が佇んでいる。


ぼくは子供のころ、Fさんは今もジョギングしている越中島の公園を観ながら、翌朝、佃島から築地に出勤。清らかでいて温かな空気。昨晩で季節は完全に移ったと確信する。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.