2018年5月6日日曜日

原点回帰


20数年前、葉山に移住したとき、家を開放して作品を展示する葉山芸術祭のありように驚き、この町で感受する多くの悦びのひとつに出合えた。当時の感嘆を思い起こせる空間を今春は観てまわった。


画家・出口雄大さんはずっと憧れの存在だった。とくにコラージュ作品に惹かれてきたが、今日の11時〜18時まで自宅でおこなわれている“40 years and Now”展では、出口さんと知り合うはるか以前の作品を含め、40年間に及ぶ創作の全体を俯瞰できる。会場で見入ったのはペンと水彩絵の具で彩られた瀟洒なイラスト。日本人が描いたとは思えない独自の表現が強く心に留まった。


「40年経って、原点に戻ってきました」という出口さん。イラスト、水彩画、コラージュ、版画、オブジェ。共通するセンスのよさと品格、美意識に魅せられながら、その言葉に思索の旅の末、確固たる道にたどり着いた表現者の強さを感じた。


出口さんの晴ればれとした表情を思い浮かべ、堀内から自分の暮らす一色エリアまで、日没間近な三ヶ丘のトレイルを歩いた。


絵も写真も光と影の表現。ならば、この小高い丘がつくる影が葉山での創作に大きな影響を与えているのではないか。以前に聞いた葉山芸術祭の代表・朝山さんの解釈を改めて考え、家に戻った。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.
iPhone X , 24mm , adobe Lightroom cc HDR CAMERA