築地市場内の喫茶「愛養」。毎朝2時に出勤してコーヒーをドリップしている鈴木さんは、僕の半生で出会ったなかで最も格好いいマスター。70歳を過ぎても凛とした姿に魅せられる。
常に店の隅々に眼を配っていて、「ミルクセーキ」の写真を撮らせてもらおうと声をかけた瞬間に、カウンター上の台布巾を構図に入らないようどかしてくれた。この席は背後に壁が迫るが、壁にもたれかかってライカを構えると、ブレにくくなる上、レンズのちょうど最短撮影距離で飲み物を捉えられる。テーブルフォトが苦手な旧ライカMモデルを使う者にとって最善の狭さなのだ。10月6日で閉店。消え行く昭和の名店にあと一度は訪ね、鈴木さんの開襟シャツはどこで買えるのか尋ねたい。
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休市日は定休日。訪問前に市場カレンダーの確認を。
朝8時過ぎは混んでいる。その時間帯を避けた方がゆったりとした心地で過ごせるし、たぶん鈴木さんにも話しかけやすいと思う。