仕事を終えて、新橋駅まで歩く途中、銀座中央通のシャネル・ネクサスホールに立ち寄る。昨日から始まったスペイン出身の画家アントニ タウレの展覧会「
光の島」を観賞。絵画あるいは写真の上からペイントした作品群は大洋に浮かぶ島特有の眩い光が射しこむ石の建築が題材。すべてその内部から外へ目を向けるアングルで描いている。通常、こうした光のコントラストが激しいシーンを写真に撮ると、暗部が真っ黒につぶれてしまう。むろん、現像アプリの補正により、肉眼と同じく、暗部にひそむ繊細なトーンを引き出せるが、アントニはその肉眼に近い影の捉え様をクールに再現していた。
眼を凝らしているうちに、じんわりと細部が浮かび上がってくる快楽的な視覚体験。ライカのレンズが得意とする暗部の描写に通じるものを感得して、ひとつひとつに見入った。光と影、絵画と写真の境界が曖昧になる不思議な浮遊感も味わえる今回の展示も撮影OK、入場無料。クオリティの高いアートを魅せ続けてくれるシャネルを称賛したい。
LEICA M-E , 7artisans 28mm f1.4