2019年2月12日火曜日

VIVID



愛犬を弔い、お供えコーナーを居間に設けた。尼子さん、タミちゃんからいただいた花、高梨農園のキンセンカを小鹿田焼、坂本茂木さんのリーチ型ピッチャーに活ける。青磁釉を施した嶋田窯の壺には愛犬の骨を納めた。島根県石見地方の土がもつ特性で、石のように丈夫で、塩や酸にも強い焼き物。20年以上前、鎌倉「もやい工藝」の故・久野恵一さんが大物づくりの名手、故・嶋田春男さんに制作依頼したが、火の作用により本来の静かな色合いと裏腹の、華やかな色になったため、恵一さんが嫌うのではと春男さんが納品をためらい、窯の隅に転がしていたという。泥まみれで真っ黒になった壺を恵一さんが見つけて洗ってみたら、鮮やかなグリーンが表出。「なんだ、佳いじゃない!」と引き取ったのだとか。そんな逸話のある逸品を7年前、恵一さんから譲り受け、今はこの明るい色彩に沈んだ気持ちを慰めてもらっている。

LEICA M-E , MACRO ELMAR 90mm