有楽町から東銀座にかけて地下通路網が広がっている。その秘密めいた存在に数寄屋橋の小学校時代から心ときめき、よく歩いていた。学校そばで地下に潜行し、床に寝そべるボヘミアン衆を横目に薄暗い通路を抜けて銀座四丁目のバス停を目指す。ちょっとした冒険のような非日常感にドキドキしていた。そのバス停近くから降りると、驚くほどスムーズに銀座六丁目のGINZA SIXに直行できることに最近気づき、嬉々としている。通常のアクセスルートである中央通りは観光客でラッシュ状態。その混雑を疎んでいたが、これからは快適に到達することができる。通行量や歩行者を観察した限り、専用の広い地下通路の存在はたぶん地域で働く人にしか気づかれていないように想像する。僕はこうしたローカルな抜け道を探し当てたときに至上の喜びを感じる。
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