築地の仕事場へは毎朝、旧木挽町を抜けて向かう。花街の風情が留まる界隈。揺らぐ柳の薄葉、ツツジの新緑の色彩を見比べ、マガジンハウスの前を過ぎる。
あたらしい雑誌はここでチェック。
向かいの稲荷に一礼。ここにも濃厚な緑。
狛犬の残像を心に留めて、ショーウインドウのヴィクター犬を覗きこむ。
路地裏の一軒。軒先でワインを呑んだら心地よさそうと目をつける。
先ほど見た、ドーム台座の風情が心に残っているのか、風化した木の佇まいに惹かれた。
バナナジュース店のパステルグリーンに通じる明るい緑に、カメラを向ける。
最後に見たターコイズの作用か、気づけば、昼休みは看板建築の緑青を眺めながらコーヒーブレイクしていた。
ここ数ヵ月、父のお見舞いで足を運べなかった「BONGEN COFFEE」へ。抹茶色のマイカップを持参してオリジナルのクルミ最中に合うラテをいただく。朝の数分の歩行で会ったさまざまな緑がこの日の行動に影響した。眼と心の作用はつくづくおもしろい。
LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm