那覇市の奥原硝子製造所で修業し、独立した平岩愛子さんのスタジオを訪ねました。
デザインをはじめ、すべての工程をひとりでおこうなう平岩さん。フォルムの素朴さ、温かみ、色合いに惹かれて奥原硝子と同じく、廃瓶や板ガラス(窓ガラス)などの再生ガラスを素材に手吹きガラス製品を作っています。
すぐに硬くなってしまう再生ガラス。瞬時の判断で成形していきます。地殻を構成する地球原始の素材を、火の力で日用品に生まれ変わらせていく仕事に感動。平岩さんのきれいな動きに見惚れ、何かが乗り移ったように、夢中にシャッターを切り続けました。
どっしりとした安定感がかたちに表れる『ヒッチーグラス』に眼が留まりました。手に持つと思いのほか軽く、そのバランスを日常で愉しみたくて透明な小サイズを購入。奥原硝子の優れた使い勝手に、女性も洗いやすい実用性を加えた健やかな逸品です。
恩師である名工・桃原正男さんの教えを守り、筋模様(モール)は飲み口ぎりぎりではなく、その下方に留めています。真面目な人柄を映すモール。澄んだゆらめきが美しく、晩酌をするたびに平岩さんが真摯に働く姿が目に浮かびます。
スタジオ訪問記の詳細は、手仕事フォーラムのホームページ「手仕事調査」のコーナーで紹介しています。応じてくださった平岩さん、手仕事フォーラムの久野民樹さん、大橋正芳さんに感謝します。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f1.4