おおらかでいて、揺るぎない信条をもつ、心優しくて強いイラストレーターつがおか一孝さん。たまたまの縁があって、近所づきあいさせていただいている。
多忙な仕事の合間、夕凪の時間に葉山御用邸前に晩酌用のスズキを釣りに行く。そんなライフスタイルを自然体で実践しているのがたまらなく格好いい。
一生愛用できるものを選び、修繕しながら使い続ける。そのセンスと姿勢が住まいにも表れていて、『BRUTUS』恒例の家特集でも表紙をはじめ大きく誌面をさき、紹介された。
お会いするときにまとっているものすべてが絵になるなぁといつも感心する。ずいぶん前、パタゴニアストアでも扱っていたテラパックスのトート『シェパードバッグ』は、パタゴニアのリペア部門で働いていた友人の女性にほつれた箇所を直してもらい20年以上使っている。そのエイジングされた物の佇まいに僕は見惚れる。化学素材ではこんな表情にはならない。
生活や人柄は真似できなくとも、せめて物だけでも真似したいと、ヤフオクにて状態のよい中古を格安で手に入れた。小物、弁当箱とライカ、ときどき買うA4判型の雑誌が心地よくおさまるサイズ感、ヘンプ素材の感触、調整機能のないショルダーストラップの絶妙なあんばいの長さ。さすが、つがおかさんが大事にする物は使い心地が素晴らしい。ただ、テラパックスは使いこむうちに小さな穴が摩耗箇所に生じやすい。そのヘンプ素材ゆえの特性を以前使っていた同社のショルダーバッグから学んだ。いくつもの穴が開いてしまったら、つがおかさんに相談して修繕の手だてを教えてもらうつもりだ。
HASSELBLAD500C/M , PLANNAR80mm , KODAK PORTRA400
LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f4