世界中の工藝を主題にする『Subsequence』。大きな判型、ラフな用紙に趣き深い写真とテキストを配置して赤い糸で束ねている。執筆の人選も気が利いている。表紙にニューヨークの骨董商で入手したという200年以上前の貝の収集物をレイアウトしたセンスに僕は心奪われ、購入した。手製本のような美しい佇まいだから書棚に納めず、家のなかでもっともくつろげる場所に、チベットの古い器に入れた自身のシェル・コレクションとともに、表紙が見えるようにディスプレイ。心安らぐ夜に、手にとっては何度もぼんやりと眺める。そのゆったりとした時間に陶然とした心地になる。
穏和な雰囲気や上質さが、ぱらぱらとめくるたびに立ちこめてくる。この風情は90年後半から2000年はじめに、葉山「SUNSHINE+CLOUD」で扱っていたdosaのイメージブックに通じるように思う。『Subsequence』は部数を限定し、クオリティと価格設定のバランスも含めて巧みに売られていて、商業的にきっと成り立つ本。毎号、完売は必至だろう。これから季刊として号を重ねていくようだからじつに楽しみ。
SIGMA DP3 MERRILL