2019年6月8日土曜日

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ワインの醸す雰囲気は好きなのに、呑むと身体が重く、心がどんより沈むことが多かった。そんな自分がほぼ毎週木曜、仕事場近くの築地場外市場「酒美土場」で1,2杯角打ちでワインを愉しむようになった。店主、岩井さんが選ぶナチュラルワイン、とりわけ果皮や種の酵母も活かして発酵させたオレンジワインはスルスルと身体に沁み入るように呑める。ナチュラルワインでも、どれでもよいわけではない。岩井さんの身体フィルターを通して選び抜かれたものが、自分にはとても心地よく合うのだろう。



スタッフの喜納さんとおしゃべりするのも楽しい。飄々としつつ、さりげなく深いことをさらっと口にする。そんな彼との波長もすごく合うと感じている。



木曜日以降のバータイムは23時まで店が開いている。それが広く周知されていないのか、今は空いているのが自分には居心地がよい。ヨーロッパ系の旅人がぶらりと入ってくると、異国の地でくつろいでいる気分になれる。なんとなく好きなオレンジワインの傾向もわかってきたけれど、嗜好に固執せず、たまたまの出合いに委ねる。昨晩はボルドーのフルーティなものを味わった。はじめての酸味に酔いしれる。



喜納さんがさらに勧めてくれたのがシチリアの離島で造られるオレンジワイン。香りの個性に驚き、長く続く余韻に感動した。ワインを介して世界中を旅できる、この快楽空間。とっておきの東京を取材するBLOG「たびこふれ」でも紹介させてもらいました。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f1.4
SIGMA DP3 MERRILL75mm f2.8