築地のナチュラルワインショップ「酒美土場」の店主、ソムリエの岩井さんにワインを注ぐ器の素材、形状により香りや味の印象は変わると教わった。ならばコーヒーも同じではと、昼休みにマイカップを携え、東銀座「盆源珈琲」で器による差異を確かめた。
オーダーするのは60ccのエスプレッソ・ダブル。ブラジル系の豆を深炒りし、マルゾッコのマシーンで抽出したクレマ豊かな一杯。陶器、磁器でさまざまに味わった。
いちばんしっくりきたのが小鹿田焼、坂本茂木さんの小さな湯呑み。お猪口ほどのミニサイズで、飛び鉋文様の表面には荒々しい火の作用が野趣として浮かぶ。美しいものの見方を教えてくださった「もやい工藝」創設者、故・久野恵一さんから授かった名陶工の器というスペシャルさも心に作用したのかもしれない。人の感覚というのはじつに曖昧だ。その個人的嗜好の多様さがおもしろい。
つづく・・・
LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f4
SIGMA DP3 MERRILL75mm f2.8