佃島の実家前の道をひたすらまっすぐ歩けば、東京駅八重洲口の真正面に着く。東京の玄関口と実家の玄関先の直結感に心踊り、僕は30分かけて駅までよく歩いて行く。その間には2つの川が横切る。大川こと隅田川、そして家康が拓いた運河、亀島川。江戸時代と同じくヨシが茂り(都による緑化)、大川につながる運河の中でもいちばん情趣豊かと個人的に思う水域だ。朝早く東京駅まで歩くときは、この亀島川に面し、朝7時から開いている「cawaii bread and coffee」で朝食をとる。
厳選材料で焼いたばかりのパンとオオヤミノルさんの焙煎豆で淹れたコーヒーをテラス席でいただく。おいしさに加え、水辺の住人になったかのように妄想できる環境に僕はとても魅力を感じている。亀島川は水面と橋が極めて近いため、干潮時に背の低い船しか運航できない。たまにタイミングよく船が通ると、潮汐の働きを改めて気づき、運河の水がつながる大川、東京湾、さらに太平洋へと意識が広がっていく。目前の水はハワイやアメリカ西海岸、南太平洋、さらには月の引力に直結しているのだから、水の流れはとてつもないスケールで気が遠くなる。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4