アイスクリームが好きでたまらないのですが、加齢の作用か、近ごろは生乳ではなく、殺菌された一般的な牛乳を用いたアイスクリームが食後にもたれるようになってきました。牛乳の質だけでなく、アイスクリームを柔らかくしたり、卵白の匂いを消す香料などケミカルな添加物の影響もあるのかも。その不快な感覚がだんだんと増してきたので、この大好物のスイーツを家で作ることにしました。まずは、卵、生クリーム、黒糖、豆乳を混ぜ合わせてトライ。コーヒーのようなコクのある味わいに仕上がり、なかなかのおいしさです。重く感じることもナシ。ただ、卵白をメレンゲにしたり、生クリームをホイップ状に撹拌するのが面倒です。混ぜるだけでOKなんていうレシピもあるようですが、僕の場合、三度試作しましたが、どうもうまくいきませんでした。
さらに身体に優しく、簡単にを突き詰めると、甘糀(こうじ)と豆乳の組み合わせがよいのでは?と思いつきました。両者を混ぜて固めるだけ。かかりつけのドクターも豆乳はそのまま飲むと身体に悪いけれど、材料に使うのはいいでしょうと墨をつけてくれました。それで、よし!と、鎌倉浄明寺の住宅地奥に佇む「sawvih」まで甘糀を買い出しに行ったのでした。
僕は「sawvih」の存在感に強く惹かれます。スタイリッシュでいて、雰囲気はカジュアル。扱うのは上質なものばかり。日本唯一となった無農薬米を栽培するところから着手する老舗の糀屋さんが実家の店主・寺坂さんとのおしゃべりも楽しい。話題がさまざまに尽きません。ここで入手した玄米糀で味噌を仕込んでいるのですが、穏やかでクレバーな寺坂さんの力強い助言は上手く、美味くできる確信が得られるのです。
買い物ついでに自家製スイーツを味わえるのも楽しみ。この日は8月末までの限定氷菓子を堪能。ヨーグルト、生クリーム、牛乳を和えた氷に添えられるのは、五種スパイスの生姜甘糀シロップと、ライム、ローリエが香る桃のコンポート。運ばれてきて、盆上の静かで美しい景色にわぁっと気分が昂揚。乳製品を用いていても、すっきりと心地いい余韻に長く浸れました。甘糀やスパイスの効用だと思います。
家に帰って早速、甘糀と豆乳を200gづつ1:1の比率で混ぜます(寺坂さんの助言)。
アラビア社の陶器に入れて、冷凍庫へ。こんなに容易くていいのでしょうか。2時間ほどで固まります。
途中、まめにかき混ぜることを怠ったためか、シャーベット状のとても固い仕上がりに。せっかく取り寄せた道具アイスディッシャーですくうのも難儀しました。次回はそこを改善していこうと反省しつつ、倉敷ガラス、小谷真三さんの青い器に盛っていただきました。砂糖を入れずとも、甘糀のやさしい甘さが絶妙で、眼をつぶってジーンと感動。これからも、寺坂さんに教わりながら、甘糀を使ったいろいろなスイーツを作っていこうと思います。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4
SIGMA DP3 MERRILL 75mm / f2.8