二度めの湯宿温泉は外で夕食。大滝屋旅館直営の「五郎兵衛やかた」へ。「なにはともあれ」という店看板の名キャッチコピーが壺にはまる。
元養蚕農家の立派で風情ある空間でいただく郷土食。ビールの肴に頼んだ椎茸の天ぷらは肉厚の身に顔がひたすらほころぶ。
こんにゃく、山菜、豆腐、清らかな水と多彩なオーガニック食材に恵まれた風土を想う。地酒がすすむ。日本に生まれて良かった。
うどんに心酔が深まる。水がおいしいところは間違いなく食が豊か。
心身が幸せに満たされ、涼しい水辺に響きあう虫の声に包まれ、宿に戻る。貸し切り状態の温泉が待っている。山の向こうでは花火。晩夏の景色がせつない。
翌日はチェックアウトして近くの道の駅「たくみの里」でくつろぐ。湯宿温泉から里までは歩道がない山道の県道。僕ら以外、歩いて行く酔狂な者は皆無。地域食材の屋台では焼きトウモロコシとソーセージを選ぶ。どちらも瞠目の味わい。
月夜野ビールの人もすごい熱量で自慢のクラフトビールをアピール。全銘柄を試飲して、好みを買い、屋台脇で酔いしれる。30年前は群馬のスキー場でよく滑っていた。関越自動車道で眼にする月夜野の地名にロマンを感じて胸がキュンとなった。その町近くで湯に浸かり、誠実、生真面目なビールの造り手と交流していることにジーンと感動。
最寄り駅までのバスを待ちながら日光氷のかき氷で涼む。効率的ではないけれど、のんびりと過ごさざるを得ない電車の旅。ゆっくり行こう、そう自然に思えるようになったから、歳を重ねるのも悪くない。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4
ELMARIT28mm 4th / f2.8