かねてから気になっていた品川の「Hand Saw Press」が出張している南大塚の「ひらけ!ガリ版印刷発信基地」を訪ねた。版画のような刷り具合が魅力のリソグラフ。印刷にも詳しい尊敬する編集者、加藤直徳さんが制作に多用していることもあって、僕も使ってみたかった。この基地はリソグラフを体験できる空間。
大塚駅前の立地。古い建物を活用した基地にはすでに利用した人たちのZINE作品が展示されていた。その作例を見て、どういうふうに刷りたいかイメージする。これらのZINEは自分が刷ったZINEと交換できる。
台湾や韓国、ヨーロッパのアーティストはリソグラフでの表現に可能性を感じているという。日本では作品作りに活用する人はまだ少ない。
現場ではHand Saw Pressの菅野(かんの)さんが手助けしてくれた。事前にメールで質問し、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(スミ)の4色に分版したPDFデータを持参。イラストレーターでこの作業をおこなったが、ZINE作りに慣れた人はフォトショップのチャンネル機能で、仕上がりを確認しているそう。リソグラフはコピー機のようにも使えるから、印刷物や写真やイラストを切り貼りしたものを持参しても刷れる。
印刷可能なサイズはA3まで。ここではCMYKのほか、Mに置き換えられる蛍光ピンクのインクも用意されている。用紙は風合いのよいものが各種あり、2版(色)、30枚までは無料。一度に刷れるのは2版までなので、どのインク色にするか決める。
これが蛍光ピンク。他の人の作例から、リソグラフらしさが出ると感じ、この色とシアン(青)の重ね刷りにふさわしい写真を『チベットの工藝 2』から選んだ。
まずは試し刷り。2つの版がズレているので微調整。左右上下のズレは簡単に修正可能。この微細なズレが版画っぽい立体的出来上がりの、リソグラフのおもしろさだと思った。
上がシアンと蛍光ピンクで用紙『タブロ』に刷ったもの。下がカラーコピーでふつうのコピー用紙にプリントしたもの。写真の再現性より味を楽しむ。それがリソグラフの特徴なのだろう。ちなみに、この場では用紙の片面に2版で30枚刷るのが初心者にはオススメ。
菅野さん。建築家でもあり、ジャークチキンの店も営んでもいる。仕事、趣味が交わり、関心の幅がとてつもなく広く、深そうな方で、すごくワクワクさせられる。
基地に貼られていたグーグルマップの蛍光ピンク刷りがよい感じ。周辺のおいしい店として紹介されていた和菓子店が気になった。
賞味期限は当日のどら焼き。1個160円。手軽な値段におもわず3種購入。消費税は 8%据え置き。
皮だけも販売。たくさん入って200円。魅惑の下町的な品揃え。POPも素敵。こんな店が元気に商いしている大塚。佳い街だなぁ。暮らしたくなった。
続く
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4