2019年11月14日木曜日

FULL MOON



来年1月初頭に参加する葉山一色海岸アート展に展示する写真を撮りに、早朝のビーチに向かう。海と富士山が満月の光でゴールド一色に染まる情景をイメージしていたが、火曜日の朝は想像通りの光景をとらえることができた。実は満月の月入りに富士山が見える確率はこのビーチではかなり低い。ここ数年、冬の満月のたびに狙っているのに、かなわないから、そう言いきる資格が僕にはあるだろう。



展示作品は淡いゆらぎが特徴の、リソグラフという印刷手法を選び、2色だけで、さまざまな色が溶け合うこの景色を表すつもりだ。そのためには撮影段階から色を十分に検討する必要があった。強調したいのはゴールドに染まる月の道。その輝きを際立たせるのに、シアン(青)ではなく、黒や濃いグレーと合わせたかった。



日の出が近づくと、空と海は青や赤の色が立ち上がってきてしまう。かと言って、漆黒の時間帯では富士山も闇に溶けこんでいる。ギリギリのタイミングをはかって撮ったのが最初の一枚だ。じつは肉眼では富士山は見えていなかった。けれど写ってはいる。あのあたりに位置しているはずとわかっているから見えなくても構図は定まった。そうして現像段階で暗部を無理に持ち上げて富士山のシルエットをぼんやり露わにした。それによって画像はこんなに荒れてしまうが、この粗さもリソグラフで思いきり網点をかけて味に替えてしまおうと目論んでいる。さて、うまくいくだろうか。リソグラフスタジオHand Saw Pressの菅野さんに相談してみよう。

LEICA M-E , MACRO ELMAR  90mm / f4