日曜の夜、渋谷「Flying Books」で催されたトークイベント「永井宏さんがまいた種」をnoteで紹介させてもらいました。
90年代後半、葉山一色に移住したとき、葉山一色郵便局上のギャラリーで永井さんの作品がたくさん展示されていて、ぼくはそのひとつを買いたいと永井さんに伝えました。「えっ、本当? 高いけどいいの?」と言いつつ、フニャーっとした独特のニヤケ顔になった永井さん。「君にはもっと合うものがある。ちょっと待ってて」と、会場で選んだ作品と別のものを、後日、永井さんはアトリエから持ってきてぼくに渡した。なぜ、それが自分にふさわしいのかわからなかったけれど、永井さんなりの直感なのだろうと受け取りました。
その作品が99年に永井さんが創刊したリトルプレス『ウォーターマガジン』の表紙を飾っていたことを、トークイベントの場で20数年の時間を経て知ったのでした。この作品をぼくに譲ったのは、永井さん流のメッセージがこめられていたのかもしれないと、永井さんを回想する3人の登壇者の言葉をテキストに起こしつつ考えています。ぼくの心のなかにも永井さんがまいた、たくさんの種のひとつが芽生えてきたようです。
SIGMA DP3 MERRILL 75mm / f2.8