2019年11月27日水曜日

Rams



表参道の紀伊国屋裏にあった「and up」で出合ったBRAUN RT20。表面の鉄製ボードは潮風で錆が浮いているけれど、iPhoneをLINEコードでつなげば、真空管がデジタル音源をまろやかに変質させ、心なごませてくれる。

このラジオをデザインしたディーター・ラムスの哲学を伝える映画 『Rams』の存在を教えてくれたのは「Flying Books」の小栗さん。興奮して調べると、Vimeoで公開中と知って即購入。崇敬するデザイナーの言葉をいつでも見聞きできるよう映像をダウンロードした。字幕は多様な言語に対応。日本語も表示できる。Chromecast経由で映像を大きなモニター画面にも転送可能。この自由で広がりのある配信手法に感嘆した。



『Rams』でとくに印象に残ったのは、ロンドンに拠点を置くヴィツゥとラムスの親密な関係。ジレットに買収されたBRAUNとは決別したが、ヴィツゥとは蜜月が進行中。オーナーがいかにラムスに敬意を払っているか、ラムスマニアでないと撮り得ない映像から伝わり、83歳のラムスが尚、活力みなぎる理由を理解できた。名前を変えてかつてのBRAUNは蘇ったのだ。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm / f2.8