質実剛健の良品イメージが強いドイツ製品ですが、さまざまなMADE IN GERMANYの日用品を使って落胆したことも少なからずありました。一方で、光学製品には際立って上質なものも見いだせるように思います。朝夕の富士山を撮影するのに防湿庫から久々に取りだした望遠レンズ『テリート200mm/第2世代』とそれを現代のデジタルライカに装着可能にする1950年代の装置『ヴィゾフレックス3型』を主とした関連アダプターは今も十分役立ち、その普遍性と、微細な陰影をとらえられる往時の描写力は称賛すべきものです。
しかし、真鍮のカメラボディとレンズは超重量級。剛性の高い三脚に据えて、ヒンヤリとした質感のダイヤルに触れ、構図を定めていると独特の高揚感がもたらされます。造りこみがなされた精緻な造形がそう気持ちを高ぶらせるのでしょうか(笑)。半世紀以上前の、この光学製品。TOKYO2020の取材など、まだまだ活躍の機会は多そうです。
SIGMA DP3 MERRILL 75mm / f4