2020年1月28日火曜日

FRAME




渋谷bunkamuraで「永遠のソール・ライター展」を観て、写真はもちろん、額装に強く惹かれた。小さな名刺大のプリントをあえて大きなフレームで飾る。そのたっぷりの余白が洒脱だと感じた。真似したいと、製造中止のインスタントフィルム『FP-3000B』でスナップした亡き愛犬のポートレイトを白無地のマット紙で囲む。ハッセルブラッドとカールツァイスの澄んだレンズでとらえた一瞬。今や貴重な撮影手法になってしまった。マット紙の切り取り加工は銀座・伊東屋「K.Itoya」の地下フロアでやってくれた。ぼくも含めて、フレーム込みでオーダーしないといけないと思いこんでいる人が多いかもしれない。税込605円(ベーシックな用紙の場合。紙質により値段は変わる)で応じてくれて歓喜した。



数寄屋橋の小学校に通学していたときからお世話になっている伊東屋。売場の脇には端材を活用した小さなフレームが販売されていた。それぞれ1個限り。早い者勝ち。愛犬の命日が近いこともあり、遺影を囲むスクエアなフレーム(窓部が約60×60mm)も購入。



ラマ僧の像やイスラム教の数珠「ミスバハ」、沖縄の骨壺「シージーガーミ」などが混在する居間のマイ聖域に無造作に置いておいた遺影を渋い金色のフレームで囲む。とたんに威厳ある雰囲気に変わった。亡き愛猫のポラ写真も近々に額装しなくちゃ。偶然、意識せず多重露光で写ったこのポートレイトもハッセルとFP-3000Cで撮ったもの。幽体離脱みたいなイメージに神妙な心地になり、同時に途方もない寂しさが胸に迫ってきた。愛犬は神秘的な力を持ち、ビーチでの散歩中も異界へと導いた。霊感は皆無と思いこんでいた自分に、ビーチ周辺に立つ生霊の存在を可視化して示してくれたのも彼女だった。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm / f2.8