神宮前「OPAギャラリー」での新春恒例企画展となった、イラストレーター佐々木一澄さんの『日本の郷土玩具展』。ここ数年、初日の朝イチに目指していたけれど、今年は出遅れ、展示最終日(併設ショップでの販売は1月29日まで)に駆けつけた。自分の適当さ、調子のよさが嫌になるが、今年も佐々木さんの顔を見れて、話せて佳かった。
こけし工人をひとりひとり、ていねいに取材してイラストと文章で一冊にした『こけし図譜』(誠文堂新社)を出したばかりの佐々木さん。本書に使われたイラストの原画とモチーフになったこけしを展示し、こけしと書籍、ポストカードなども販売。観る側としては最強の見ごたえに唸る企画内容ではないだろうか。この展示ぎりぎりに出版を間に合わせた情念にも凄味がある。なにがなんでも間に合わせる。その執念がかたちになって結実していて、感じ入ってしまった。これこそがプロの表現、仕事といえるだろう。
個人的に強く惹かれた造形は岩手県南部系のこけしの原初形、赤ちゃんのおしゃぶりである「キナキナ」。工人は煤孫(すすまご)盛造さん。素材は白地のアオハダを用いたものを選び、購入した。
著書に「キナキナ」の絵をサインとして、ささっと描いてもらう。嬉しいなぁ。これから、こけしの現状を正しく、わかりやすく、詳しく教えてくれる、この貴重な名著をじっくり読もう。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4