葉山町一色の森山神社土曜朝市でお会いした「15brewery」の秋山さん。洒脱で穏和、好きなものことへの高い熱量に魅了されて翌日、醸造・販売所に持ち帰り用保存・保冷容器グラウナーをバックパックに忍ばせて、歩いて行く。
葉山一色の海岸線沿いに隣エリアの堀内へ。春めいた陽気で、光も海も美しく輝く季節。せっかくなので望遠レンズをセットして緑色を主題に、道中の被写体を探した。
三ヶ下というエリアにさしかかると、山のふもとに大きな邸宅が並ぶ。贅を尽くした外構が見事。ここは夢の領域。
眼の前は海。海藻が溶けだしているのか、水の色はシーグリーンに染まり始めた。
真名瀬の渚そばのバス停でスナップ。地元漁師さんが春の海を眺め憩っていた。
町道から狭いこみちに分け入る。道端には古い木造家屋が残り、常緑の緑が茂る。
堀内は一色界隈の景観とは家まわりからしてどこかが違う。ラフに植物と付き合っている印象。ぼくの家のように。シダの群生ぶりを見ると、一色より若干ウエットな地域かもしれない。スポット的な気候風土の差異というものか。
「15brewery」が近づき胸の鼓動が高まる。隣はイタリア食材店「tanto tempo」。こんなに大きな樹が張り出していたのかと改めて凝視。
ついに扉を開く。隅々まで整理された静謐な空間。繊細な陰影が美しい。
使わずにいた古めのネガフィルムを分けていただきつつ、また写真と酒の談義に熱中。
開栓した翌日も角が取れてまろやかになっておいしいというベルジアン・スタイルの白ビール『葉山ヴィット』を持ち帰ろうと決めていた。
4~5年前に入手したmiiRのグラウラーをようやく活かせるようになり嬉しい。64オンス、約1升入る。「底なしに入るので気が引けてきました」と秋山さんが冷や汗をかくほどの大容量。これは試作品らしいが、現行品は開け閉めがとてもスムーズに改良されている。
近くのトンネルをくぐり、こんどは山まわりで家に戻る。このトンネルは「tanto tempo」の斎藤さんが定期的に掃除していると以前聞いたことがある。壁のタイルに付着した排気ガス物質もぬぐわれ、葉山町図書館の植栽が映るほど磨かれている!
途中でこみちを抜けて郵便局でソール・ライターの写真集を受け取り、「佐々木良太郎商店」で肴を買う。相変わらず、「葉山ゲストハウス」は洗練を極めている。
一色の墓地を横切り、家の裏山のふもとへ。松を供えているのが佳いなぁ。
佐島石の塀が続く、一色でもっとも心鎮まるこみち。午後の斜光にうっとり。
家に到着。月桃の繁茂がすごいことになっている。ついにグリーン&イエローの彩度を失わずに冬を越してしまった。亜熱帯化した小さな庭。
喉が渇いて、すぐにグラウラーを開ける。グラスは青梅市「Rainbow Leaf」の再生ガラス『ヒッチーグラス(小)』。吹きガラスのやわらかなかたちが、ビールをおいしそうに見せる。小麦の軽やかな甘みと香り、若干の酵母の香り、風味づけに用いるオレンジピール由来か、爽やかな酸味。スルスル、ゴクゴク呑めて、いきなり杯を重ねてしまった。
炭火を熾し、早めに家の土間で宴を始める。きびなごにビールが進み妻と二人でまたたく間に一升を呑み干してしまった。また、買いに行かなくちゃ!
LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm / f4