2020年8月17日月曜日

フラードームのシェイド



今月初頭、NYのアーティスト、トム・サックスさんが呼びかけたフラードーム(ジオデシック・ドーム)のDIY。インスタでレシピを公開している。五角形になる三角と六角形になる三角。2種の三角を合体させ頑強なドームを構築していく。



トムさん自身の制作例。その佇まいからは安価ですぐに施工可能な最小限住宅の可能性を感じさせ心躍る。大都市のストリートに設置する演出もさすが。外装を高性能の断熱材にしてソーラーバッテリーパネルも組み込んでみたら、なんて発想がビジュアルからすぐに引き出された。出入口を普通の住居のドア状にデザインしている点にさりげないメッセージを見出した。



呼びかけに応じて、多くの北米人が自作フラードームを続々とアップロード(#tomsachsisru)。多様な素材をそれぞれのアイデアで組み立てていて、その独創性とおおらかな風情、熱いDIYスピリットを感得し、自分もたまらず手がけたくなった。インスタ投稿を介してそんなユニークな人たちと繋がれたのも、とても嬉しい。それにしても北米には3M社の特殊なテープやジョイント用金具などDIYを支える素材やパーツが豊富で格好良いなぁ。羨ましい環境。自宅のスタジオも広い!




で、ぼくのアイデアはというとフラードームをランプシェイドに仕立てること。着想源は10年前、もやい工藝の久野恵一さんにならって自作したシェイド。恵一さんが佐世保の工人、野田利治さんに新店舗「秋月」の照明用にランプシェイドとして発注した竹カゴに阿波紙(和紙)を貼ったもの。このカゴは三角と六角形を合わせて緻密に編み組みされていて長く使える丈夫な手仕事良品。



素材は小物などを保管するために15年ほど使ってきた多数の『バンカーズボックス12770』のうち傷みの激しい蓋を選び活用。



マイルールは何かを買い足すのではなく家にあるものだけで工作すること。段ボール紙の上にレシピに基づいて必要な数の三角形を描いてひたすら切り取る。ドーム内の灯りが和紙から透け出るよう三角形の縁を5mm残して切り抜いた。この集中力必須な作業が大変で、無心になって没頭しつつハードルを上げ過ぎたかなと後悔。それでも不器用に一日中手を動かし続け、JUST DO IT! と北米人になったつもりで前に進む。



2種の三角形をスタジオ撮影用メンディングテープで貼り合わせて、なんとかドーム型にするところまでたどり着く。サイズ感は帽子に近い。



三角形に阿波紙を木工ボンドで貼り付けて完成。やったー! すごい達成感に酷暑を忘れる。



じゃーん、ランプを灯した姿に自己満足マックス。トムさんと世界中のフラードームファンにインスタで報告&自慢しちゃおう。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm / f4