冬型の低気圧が太平洋に張り出したここ数日。波長の長いうねりがゆったりと、強い力で押し寄せ葉山一色海岸の砂を大量に洗い運び、掘り起こしていた。波打ち際に無数の石が密集する様子に胸騒ぎを覚えパトロールに行くと、さまざまな化石が転がっているではないか。欠損が皆無で摩耗で艶やかな光沢を帯びた完璧な二枚貝の化石が眼に入った瞬間、「あったー!」と歓喜の声を漏らしてしまった。
約1万年前から5,000年前の縄文時代は温暖化により海水温が高く、ずっと山裾の陸地まで海に沈む「おぼれ谷」を形成。砂底か砂泥の浅い内湾の最奥には干潟が広がっていたとか。一色海岸には当時それらの海底に棲んでいた二枚貝や牡蠣などが化石となったものたちが砂中から露になるスイートスポットがある。長さにして10mほどのごく限られたエリアだ。写真いちばん上のトリガイや上のイボウミニナは干潟や砂泥の貝たちは砂や泥に包まれて護られるのか、とてもミントコンディションを保っている率が高い。
今の葉山のみならず全国的に絶えてしまった、干潟に棲むハイガイの化石はわりとよく見かける。現代の打ち上げ貝と混じって何知らぬ顔で転がっているものだから、縄文時代の貝だとは気づかない人が多いかもしれない。
化石密集地には古代の貝を中心部に包みこんだノジュール「子産石」も紛れていたが、このビーチで手に取るのは久々。ただならぬ状況に10数年前、HOW TO本『ビーチコーミング学』(著者は池田 等さん、東京書籍刊)を企画、制作するほどの夢中が再燃。連日、ビーチに足を運んでいる。
木の化石には初めて遭遇。なんだろう、このオンパレードぶり。勢いで凄いものが出てきそうで胸の昂りが抑えられない。
葉山一色海岸近辺の縄文時代の環境と海の生物については神奈川県立生命の星・地球博物館の資料が詳しくわかりやすい。
LUMIX GF-1, MACRO ELMAR 90mm /f4