20年前くらいに鎌倉「beach dog cafe」で買ったMADE IN USAのジップジャケット。茶にオレンジの差し色、手縫い刺繍のさりげなさに店主アバさん(魚住さん)のセンスが感じられ一目惚れした。そのわりには着る機会は少なく仕舞いっぱなしだったので、もったいないなぁと引っ張り出してSHO FARMの援農ウェアに活用。
服の地味なアースカラーは有機素材を発酵させて地道に作る堆肥土の色に通じる。たぶん土まみれになっても汚れが馴染むだろう。たまたま雑誌『スペクテイター』が「土のがっこう」という土中の生物多様性と有機農業の特集を組み、関連グッズとして『土ワッペン』を販売したので入手。援農ウェアに貼り付けて畑に向かうテンションを盛り上げようと試みた。ワッペンは裏面に接着シールが付き家庭用アイロンで服に貼り付けられるはずだった。しかし、このジャケットは混紡素材のためか一度洗濯したら剥がれてしまった。ワッペンの佇まいが気に入っていたし、援農仲間にも褒められた嬉しさが背中を押して、ワッペンの縁を縫い留めることに挑戦(右胸の丸ワッペンの方)。人生初の裁縫だったが、「たてまつり縫い」手法をYouTubeで習い、かろうじて縫い留められたとき充足、達成感に浸った。重複作業を無心に黙々とやるのが好きな性分が手伝い裁縫は楽しいと心から思えた。仕上がりは生来の不器用者ゆえ極めてラフだが、イヌイットが海獣皮を縫合するアノラックのワイルドな縫い味に似ているのではと無意識な下手さ加減をポジティブに捉えている。
LEICA M-E, MACRO ELMAR 90mm / f4