2021年3月1日月曜日

和菓子藝術


photo/ wagashi meguru

土曜日の夜、
和菓子めぐるさんが投稿した苺羊羹の写真を観て敵わないとため息が出た。創作した本人だけが撮れる集合体。美術大学で写真を学んだ彼女のセンスが配置や俯瞰というアングルの選択に表れていてただ唸った。3月に再開予定の葉山一色海岸アート展では展示写真を追加するのだが、ぜひこの1ショットを足したいと思った。



苺羊羹は翌日の日曜茶会で供されると知り、葉山、秋谷の海岸とトレイルをめぐるスロージョギングの途中で丘の上にあるアンティーク&ブックカフェc:hord hayamaに寄った。



羊羹と大福が包む嘉山農園の苺、菱餅の赤が映え、いつもに増して華やかなショーケースを覗きいて抹茶に合わせる菓子を選ぶ。心躍りつつ、毎度悩んでしまう。



カジュアルなお点前の共は苺大福に。一服して接写のためのアダプターOUFROをカメラとレンズの間に挟む。



ライカ、ズミルックスの絞りはf1.4。尊敬する写真家はこの開放値において世界最高の描写をするレンズだという。OUFRO使用によって和菓子に接するほど迫れるが、ピントの合う幅はミリ単位。極めて狭い。フォーカスリングを最短にして什器に片肘着きながらカメラ手持ちで合焦点を探る。身体が少しでも振動すればピントを外すので呼吸を止めて意識をファインダー内の一点に集中。その緊張感がたまらなく心地いい。




フォーカスできたときは獲物を射抜いたスナイパーのごとき快感に酔うが、光の揺れと煌めきは合焦点の少し外側で儚く立ち現れる。その情景を真っ先に愉しめるのは撮影者の特権。夢の世界にしばしうつつを抜かし、インスタやblogで独りよがりの心象を公開する。

LUMIX GF1, LEITZ OUFRO+SUMMILUX50mm