「BRUTUS」801号・居住空間学特集の表紙と記事冒頭を飾った、近所の大久保家。玄関を写した写真に写っていた、らせん状モビールに眼が留まる。家主であり古物商の大久保さんに尋ねたら、デッドストックに近い美品があるというので、譲ってもらいました。
アメリカの映画で玄関先に吊るされているのをよく見かけ惹かれたと大久保さん。広い庭と味わいある古家の雰囲気によく馴染んでいて、とても魅力的に見えます。風雨にさらして、いい具合に色が落ちてきている。木材はカリフォルニアのヒノキ科のセコイア(レッドウッド)だから、屋外にあっても長年使い続けることができる。武骨な丈夫さがいい。
長さの違う木材のセンターに穴を開け、上下でネジ止め。簡素な構造と、微妙に濃淡をつけてオイルを塗り分けるセンスがまたいい。ぴたりと閉じれば、フラットになる。大久保さんはこの状態で、なんと鍋敷きとして使っていたこともあるとか。このモノの出自を知りたくて、ウエブをさまよったけれど、明快な答えにたどり着きません。カリフォルニア在住アーティストのサイトに、似たウインド・スピーナーを見いだせたけれど、これが彼らのオリジナルデザインなのかは不明。
らせんのパターンは自由自在に調整して、かたちづくることができます。部屋の南西のコーナーに吊るして海風を受けて、くるくるまわる様子をまずは愉しみます。存在感がありすぎて、ヒンメリの影
が薄くなってしまう(笑)。大久保家の真似をして、軒下に移そうかな。
SIGMA DP3 MERRILL