よく晴れた日曜日の昼。てくてくと葉山、真名瀬の渚へ。前日、ばったり会った渚の漁師、矢嶋四郎さんにビーチでの小さなパーティに招かれていたのでした。
顔を合わせてじっくりお話するのは何年ぶりのことだろう。「湘南スタイル」や地域のコミュニティペーパーでさんざんお世話になったのは10年前のこと。四郎さんも82歳になって、漁もリタイア。彼を慕う近所の人が料理や食材を持って集まり、流木を焚いて調理。ご飯を食べ、お茶を愉しみ、陽を浴びて、さざ波を聴きながらのんびりおしゃべり。不義理なぼくもこうして呼んでくれるのがありがたい。
身に付けるファッションの格好よさは相変わらず。ヒスイのゴールドリングは60年前からの愛用品。シルバーの「矢嶋」リングも似合うなぁ。絵になる人だからテレビにCMに雑誌にと引っ張りだこ。先日は雑誌「Monocle」の取材を受けたらしい(森戸海岸の「カラバシ」に掲載誌が置いてあるそうです)。
なにげない仕草が粋。男の眼からだって見惚れてしまう。鉈で流木を器用に削り、ハンマーの柄をつくっている。海から打ち上がるものを活用したDIY品。なかなかいい味わいだから、そばで「いいなぁ」なんて呟こうものなら「あげるよ」と四郎さん。所有欲なんて皆無。みんな惜しげもなくあげてしまう。お父さんの形見も含めて昔ながらの漁具など、ぼくはたくさんの宝物を預かっている。そしてこの日も。貰い放しではいけない。数年前、四郎さんと一緒に冬の海に漁に出ては、せっせと撮り溜めた写真をフォトブックにまとめて贈呈しようと思うのだけど、きっと手渡したその日に誰かにあげちゃうんだろうなぁ。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.