2017年10月13日金曜日

寅さんに会う


毎月10日は『寅さんの日』。10月のその日に柴又初訪問を果たす。あえて事前に情報収集をしないで臨んだ取材。右も左もわからなかったけれど、現地に着いてすぐに最高のナビゲーターと幸運にも出会う。寅さんの日と金曜日の昼過ぎまで駅前に立っているというボランティアガイドのKさん。ロケ地やエピソードなど寅さんのことを徹底的に調べ上げている。無理を言って分けていただいた冊子の内容に驚いた。ときには町の人に聴き取りもおこない、寅さんファン観光客の声に真摯に耳を傾けながら懸命に集めたマニアックな情報。主観をまじえ、手書き文字が寸分の隙間もなくびっしりと書きこまれている。その熱量に圧倒され、自分の好きを広めようという情念に胸がジーンと熱くなる。


アポなし取材だったのに、事情を話すと快く撮影を承諾してくれた「高木屋老舗」さん。店奥の額には「くるまや」の情景が映っていた。ふらっと、その入口に寅さんが帰ってくるような不思議な感覚にとらわれた。困っている人に温かく手を差し伸べる「寅さん」に町なかのあちこちで遭遇でき、寅さん愛に満ちた柴又が大好きになった。

おしゃべりで、毒舌で、おせっかいで心根はとても優しい。しょっちゅう日本中を旅していた恩師と寅さんの像が重なる。寅さん映画を最期まで観ていた恩師。福岡県朝倉市秋月に店を拓いたのも、寅さんへの憧憬の気持ちの表れだったのだろうか。今週土曜、BSジャパンでは秋月が舞台となる第28話が放映される。しんみりと観ることになりそうだ。

ロケでの渥美 清さんは休憩時、蕎麦など質素な食事をしていたそう。その実像にならい、川魚でも鰻でもなく駅前の三河屋さんで大盛り500円のヤキソバをいただきました。

Kさんに教えていただいたHP  「男はつらいよ 覚え書きノート」が素晴らしすぎる。映画鑑賞と合わせて観ることをお勧めします。

LEICA M-E , ELMARIT28mm 4th EDITION f/2.8
SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4