潮騒がこだまするパシフィック・コースト・トレイル。葉山から峯山を歩いて矢谷左知子さんのワークショップに向かう。
清涼感に満ちた風に包まれる海沿いの道。なんて心地いいんだと酔いしれる。
シーカヤッキングに夢中になっていたころ、昼寝しながらワインを呑んでいた無人島、尾ケ島が正面に見える丘。この楽園の視界ももうすぐ新築の家で遮られるという。別荘の宅地開発が峯山で急ピッチで進められている。なぜ大切な余地を残しておけないのだろう。
この日は月桃の茎などを用いての草ひもづくり。不器用な自分にはたしてできるのか、不安な気持ちを「つくることが目的ではなくて、草にふれることが大事」という矢谷さんの一言がやわらげてくれた。
4本または2本の草を撚り、1本のひもにしていく。ゆっくり、じっくり繰り返して習得していく。この基本原理を手が覚えたから今後は、庭のあらゆる草で僕はひもをつくれるようになったのが嬉しくてたまらない。ひたすら無心でひとつのことに向き合う時間。気持ちが穏やかに、のびやかに開放されていく。
月桃のひもで編んだかご。次はこれをつくりたいなぁ。帰る途中のトレイル、家のまわり、こみちの植物を見る眼が自分のなかで明らかに変わった。この草、あの草でひもをつくってみたいと、自然と願いが湧きあがってくる。矢谷さんに深謝。
iPhone X , 24mm , adobe Lightroom cc HDR CAMERA
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.