2015年3月31日火曜日

instantfilm


iPhone6のカメラ、とりわけinstagramの正方形フォーマットで撮る行為には、ポラロイドカメラに通じる高揚感があります。しかも、気楽さではポラロイドカメラよりもはるかに上をいっている。フィルター加工すれば、ポラロイド風の淡いムードも演出できる。けれど、ポラロイドのインスタントフィルム特有の郷愁を誘う微妙な色合い、フィルムの粒状感、背景のボケ味などの個性とは異質のものであり、iPhone流の真四角写真に別の価値を見出しています。写真家ルイジ・ギッリが『写真講義』のなかで酷評したポラロイドSX-70は専用の低感度フィルムの扱いも含めて確かに撮影が難しかった。写真技術の未熟なぼくなどは20枚撮って1枚かろうじて写っているかどうか。けれど、稀に撮れている1枚には、このカメラでしか出合えなかったであろう光の景色が現れていて痺れたし、今もその数枚の写真が酒の肴となるほどの味わいを保ち続けています。ポラロイドカメラ用の純正インスタントフィルムはなくなってしまったものの、さいわいなことにフジフイルムの現行製品により、インスタントフィルムを愉しむ余地が残されている。iPhoneで軽やかに瞬間をすくいとる一方、マニアックな手法で、数年ぶりに腰を据えたスナップをしてみようかなと目論んでいるところです。

渚の漁師 SHIRO YAJIMA'S ZINE

POLAROID SX-70 ,  iPhone6+SNAPLITE