2015年6月27日土曜日

Arc'teryx


日常や旅の行動をともにする理想のバッグを追い求め、どれだけ散財してきたのだろう。自分の理想とはコンパクトで軽量ながらも、重い荷物も快適に運べ、丈夫で高い防水性をもつもの。具体的には財布、iPhone、鍵、弁当箱、本、折りたたみ傘、イヤフォン、ライカM-Eといった必携品を心地よく運搬、出し入れできること。その条件にこたえるバッグに出合えた気がします。地球初の爬虫類アルケオプテリクス(始祖鳥)を名の由来とするArc'teryx「Lunara10」。サブポケットはひとつのみのミニマムな収納スタイル、防水性を求めたゆえの生地のゴワゴワとした感触は好みが分かれるところ。何かを追求したら何かを割り切らなければいけない。潔い哲学が伝わる仕様に共感でき、魅力を感じます。収納物を探しやすくする内側の白い生地、背面パッド、適度にクッションの効くショルダーベルト、開閉のスムーズさは多少犠牲にしているものの、スリにより不意に開けられるのを防ぐジッパーの位置と動き、取り外せるウエストベルト。細部に宿る、無駄を省きつつ、徹底して機能を高めた工夫にいちいち感服します。素材とパーツのデザインが総じて絶妙なバランスで調和し、荷物の重さを体感しにくくするパフォーマンスを実現しているのでしょう。その創意にきわめて高い知性とセンスを感じ、敬意を払いたくなりました。


見た目はコンパクトなのに、13インチまでのラップトップ・コンピュータが収まる。定期的に購読している「アンド・プレムアム」などA4変形の大きな雑誌が入るのも便利。仕様同様、個人の嗜好によりますが、銀座の直営店にストックされていた廃番色のモス・グリーンの色合いもいい。レンガ色に近い、くすんだオレンジの差し色がアクセント。自然光と人工灯の下でまるで印象が変わる微妙な色味。ぼくはかなり好みです。このバッグを糸口に、Arc'teryxのウエアへの関心も高まってきてしまい、危険な予感がします(笑)。

LEICA M-E SUMMILUX50mm 

追伸:バッグと全然関係ないのですが、「アンド・プレミアム」の誌面、とくにビジュアルが最新号でまた完成度をグッと高めてきた気がして惚れ直しました。 今の美意識のまま独走・独創してほしい雑誌です。