2015年6月5日金曜日

神田錦町のコーヒー&ロースター


ようやく念願のコーヒースタンド初訪問を果たせたと、コーヒーの焙煎をする知人のinstagramへの興奮混じりの書きこみを見て、店の位置を確認。そこは神保町の古書店街に近い神田錦町の一角に立つ古いビル。少し前までは刀剣などミリタリー系骨董を扱うマニアックな店が入っていた所とわかり関心が湧きました。有名建築家が設計した名物建築ではないのでしょうが、何となく心惹かれる佇まいのビルでしたので、その空間をどう活かしているのか気になったのでした。


このビルの裏の印刷会社と打ち合わせする折に、この「グリッチ・コーヒー&ロースター」を利用することにしました。骨董店時代はシャッターで閉じられていた大きな窓が内外観のアクセント。そこからたっぷり入る自然光を白い壁が受け、繊細な陰影をともないながら、室内をやわらかく照らしだしています。天井には照度を抑えた白熱灯を少しだけ。配線もあえて剥き出し。その質素で余白を残した場に、鉄と古材を組んだテーブルや最新の焙煎機をレイアウト。余計なものを足さず、ミニマルな美意識が貫徹された、簡潔なインテリアが居心地と風通しのよさを生んでいて好感を抱きました。その気張らぬ自然体が格好いいなぁと。そして、このビルの渋い味わいを存分に引き出していることに嬉しさを覚え、温かみのある光が通りに漏れ出る、日没後の情感にも触れたいと思いました。イケメンな上、確かな技術を備えるバリスタ揃いとか、3rdウエーブ系の豆を選んでいるとか、「Hanako」1088号が記述する特徴はもちろん魅力だけど、錦町のこのビルを選び「無名の名建築」を見事に活かした、彼らのセンスにぼくはいっそうの敬意を払いたいです。

LEICA M-E SUMMILUX50mm

追伸:骨董店はすぐ近くに移転したもよう。印刷会社の営業マン情報によれば、以前から近辺で移動を繰り返しているとか。錦町界隈には、よほど「よい気」が漂っているんでしょうね。