2015年8月7日金曜日

南青山の海街diary


鎌倉の海辺を舞台にした四姉妹の物語、是枝裕和監督海街diary瀧本幹也さんの写真により、映像の耽美な空気感を再現する展示が南青山のTOBICHI2で催されました。表参道の華やかなファッションストリートを抜け、青山墓地へと続く静かな通り。眩い陽射しが端正な建物の壁と道端の緑を照らす。真夏らしいコントラストの強さに目を細めます。



サザビーズ、Idee、オーパーツショップ、case study shopなどインテリアショップが集まっていた地域。かつては洗練されたインテリアに憧れ、頻繁に足を運んだことも。TOBICHI2に向かう道すがら、より心地いい住空間を目指し、心ときめかせた日々が懐かしく思い起こされます。




映像同様、瀧本さんの写真集は情感豊かで美しい。鎌倉極楽寺から稲村ケ崎にかけての、ローカルな鎌倉の空気を見事にすくいとり、女優の表情、しぐさを魅力的にとらえます。まるで映画を観ているように、ページをめくるごとに、印象深いシーンのひとつひとつが目に浮かびます。





建物の裏が墓地という立地。その緑豊かな墓地を背景に展示する写真も。死をさりげなくテーマに盛り込んだ映画とイメージを重ねながら、写真に見入ります。会場内は写真作品も含めて撮影OK。その配慮と案内役のスタッフの穏やかさが、会場ぜんたいをやさしいものにしている。




映画で使われたというセットも片隅に。多様なフレームに額装した写真。親しさを覚える自由な企画、発想力に、「ほぼ日」人気の秘密を垣間見る気がしました。






温かみのある、とても素晴らしい展示でした。映画への感動と心象がさらに心の奥底へと刻み込まれた気がします。タイミングが合わず、瀧本さんには、お会いできなかったけれど、これからの活躍がますます愉しみに。是枝監督とともに今度はどんな美しい映像を見せてくれるのだろう。

LEICA M-E SUMMILUX50mm

追伸:瀧本さんがスティール写真に用いた機材は何だろう。雰囲気からの想像ですが、ライカと50mmレンズの気がします。チャンスがあれば尋ねてみたいな。