2015年12月21日月曜日

エージング・サンダル


手のひらに収まる大きさの石が波打ち際にびっしりと密集する現象を稀に目にします。波の力で近くの海底から打ち上がるのではない。砂に埋もれているものが潮流によって表面が洗われて露呈するのです。大潮の最干満時の現象ではありません。月の引力の強さとは別の作用で、ひそやかに、ものすごい量の砂が海中へと移動していく。そのタイミングは自然界の明確な節理に基づくものでしょうが、いつかそのパターンを解き明かしたい。そして、この神秘的な現象のときに、たいてい自分には輝いて目に映るものも表出しています。



先日は極度に磨耗したサンダル。これほど天然ゴムがすり減るまで、どれほどの時間が経過したのでしょうか。葉山げんべいで売っているブルーダイアの製品。ぼくもこの色の組み合わせを長く履いていたことがあります。現在、沖縄に暮らすビーチコーミング・アーティストのシキヤンにでも素材として送ろうかと考え、散歩が終わったら回収しようとしたら、無くなっていました。後悔しながらも、朽ちる物の美に魅せられる同志が他にいるのだと思うと、ちょっと嬉しくもなります。

LEICA M-E ,  SUMMILUX50mm ASPH.