2016年2月23日火曜日

Macのフォトブック



数年前、葉山・真名瀬の渚で漁をしていた矢嶋四郎さんのZINEを制作したことがあります。冬の海藻漁を追いかけたもの。つたないアドビ「イラストレーター」の技術で簡素にレイアウトし、神田の用紙問屋で手触りがよく、写真プリントにも向いた上質マット紙を吟味して、普及型インクジェットプリンターで出力。それを自宅のミシンで製本。好みの色になるまでプリントの試行を重ねる。手製本のため、きわめて手間がかかる、自分にとっては難儀な大仕事でした。先日、数年ぶりに渚で四郎さんとその浜友達に再会したとき、現在は漁からリタイアした四郎さんの雄姿を写真に記録していることを伝えると、その写真を冊子にまとめたいというリクエストが。通常ならば、ZINE、フライヤーなどの少部数印刷にネット上のオーダーで応じてくれ、コストも安い、都内の小さな印刷会社に頼むのが賢明。しかし写真印刷の質を求めると、本紙校正という実際に用いる用紙に刷り、写真の明暗や色合いをリアルに確かめるオプション工程が必須に。大きな出費となってしまい、個人のオーダーとしては現実的ではありません。そこで、Macの「写真」というアプリでフォトブックをつくることにトライしてみました。納期は一週間弱。レイアウトを保存しておけば、クリックひとつでアップルコンピュータにオーダーでき、自宅に送られてきます。手軽さは抜群。あとはクオリティがどうか・・・。




基本は20ページ分の写真とテキストを配置できます。受け取って、かなりドキドキして開いたのですが、ぼくの使うMacBook Airの画面上に映し出される写真の明暗、色合いにきわめて忠実な印刷がされていることに驚きました。PCの画面で見えている色をそのままプリントするのがいかに大変かは経験者ならわかると思います。これを厳密にやろうとすると、PCモニターのキャリブレーション(色合わせ)など素人にはハードルの高い作業をこなさなくてはいけません。青みを強く調整した写真の雰囲気がそのまま紙の上に刷られ、冊子となっている。これはとても画期的なことじゃないでしょうか。ぼくが写真関係の出版物に携わっていたら、アップルコンピュータ日本支社にフォトブック制作について作業現場の取材を申込み、リアルな色再現の秘密に迫ってみたいところです。




ソフトカバー、横20×縦15cm、20ページまで1,300円。いちばんリーズナブルなパターン。




いろいろなフォーマットから選び、写真や文字をはめこんでいく。直観的な作業で素人にも容易にレイアウトができます。ただし、自分が選んだもっともコンパクトな判型では写真が少しトリミングされてしまう。写真主体のフォーマットでは文字量もかなり限定されるので、掲載可能なのはキャプション程度と考えた方がいいでしょう。




右下にも写真を1点配置できるのですが、あえて余白にして空けると、なんとなく洒落て見えます。今のところ用紙は選べないのですが、一般的な厚みがあるコート紙。光沢がある紙なので好みが分かれるところですが、写真の印刷には無難な用紙です。




Macファンには心憎いひとことが裏表紙に。「Made om a Mac」のクレジット。1冊1,300円。都内印刷会社の15倍ほどの単価。安くはないけれど、写真印刷のクオリティの高さと、なによりこの文字ひとつでコストパフォーマンスは充分なんて納得、自己満足しちゃうなぁ。

追記:イラストレーターで制作したオリジナルはこちら。文字を削らず、写真は基本、ノートリミングでいきたいという希望を100%かなえたパターンです。

SIGMA DP3 MERRILL