先日、三浦海岸駅を目指し、国道をスロージョギングした道中。いちばん惹かれたのは道端の簡素な家でした。トタン張りの素朴なつくりもそうですが、色に魅せられました。倉庫か土間と思われる1階部分を覆う木戸。その色合いに。かつて、この地域の海辺でひと冬の間だけ暮らしたことがあります。砂浜に接する、漁師小屋みたいなフラットハウス。前住人の著名な女優がエクステリアの壁をペパーミントグリーンに塗っていた。建築様式は昭和初期の和そのものでしたが、壁の色の作用か、異国のビーチハウスの趣きもありました。自身の問題から、長くは続けられなかった海と一体となる時間。ふんわりとやわらかなグリーンが当時のときめきを回想させ、甘さをほのかに含みつつも、ちょっと切ない心持ちにもなります。ほろ苦い記憶ほど美化されるものですね。
LEICA FLEX SL , SUMMICRON R 35mm , FUJIFILM PRO400H
