2016年4月8日金曜日

通勤路の桜



華々しくてはかない。開花に心が浮き立つたびに、すぐに散り去る花の命がうらめしい。花を長く愛でられる植物が好みだから、自宅には春から初冬まで咲く南洋植物を植えている。けれど、この時季になると思う。街の景色を一変させる美を短く、強く愛でるのもまたいい。桜が庭にあったら、どれだけ春が、暮らしが特別なものになるだろうかと。とくに桜の美しさが引き立つのは水辺にある状況。その理想的な情景をプライベート空間で実現している葉山の家を眺めるたびに、憧れの気持ちが湧き上がります。




水辺と桜。瑞々しい絵を心に留めながら仕事場の築地に着く。ここにも、また桜のある理想形な建物があります。もとは料亭と思われる空間が瀟洒なバーとして活用されている。その小さな庭に一本の桜が収まる様子に強く惹かれます。縁側でお酒を呑みながら、簡素に照らし出した桜を仰ぎ見る夜は、どれだけ艶やかで豊かな時間が流れていくのでしょうか。

LEICA M-E , ELMARIT28mm 4th Generation (Pre ASPH.)