2016年5月30日月曜日

森の畑の物語 後編



森のなかの畑、葉山「パラダイスフィールド」で受けた最初の驚きは、野菜販売のシステム。利用者は自分で好みの無農薬&無化成肥料・野菜や果物、ハーブ類を収穫し、量り売りで購入できます。




フレッシュなものを食べるぶんだけ手に入れられる。食材の入手手段としては最善。とはいえ、広大な敷地。品目のなかには、木々の奥にひっそりと実っているものも。はじめは購入までの流れや、販売リストにある旬のものがどこにあるのか、要領を得るために販売スタッフのナビゲーションに頼ったほうがよいでしょう。







畑は年中無休。早朝から開いているそうです。畑入口に設けた販売所にあるリストに自分で買うものを書きこんで申告。スタッフが不在のときには、自分で計量して代金を置いていく。サラダの食材としてはベストなものを、早朝から自由に手に入れることができる。こんな理想の畑が自分の暮らす街に2014年から存在していたなんて。噂はFBの投稿でちらほら聞いていたのですが、実感としてリアルな野菜入手の手段として認識したのはこの日がはじめてでした。今後、何度も通って、生活地域でおいしい野菜を買える嬉しい実感を深めていきたいと思います。ちなみに、パラダイスフィールドの野菜は、自然の色を食べる「3pmさんじ」のおやつ&デリで用いられているほか、葉山森戸海岸の海の家「オアシス」、森戸神社前のカフェ&バー「カラバシ」。葉山鐙摺港そばのフレンチ「ラ・マーレ・ド・チャヤ」で口にできますし、逗子駅前のスーパー「スズキヤ」でも野菜セットを扱っているとのことです。






ひとつひとつの野菜が生命感に満ちていてとてもおいしいのですが、彩りを考えて盛り付けると、さらにおいしさを増すように感じます。これは3pmさんじ」の横田さんが用意してくださった、サラダランチのセット。ほうれん草のピタパン、人参とレーズンナッツのパン、玉葱のベーグルといった天然酵母パン、ほうれん草アーモンド、人参アーモンド、玉葱カレーといったベジクラッカー、牛蒡とじゃが芋のポタージュとともに、とれたて野菜や果実をいただきます。




それらのパン、クラッカー、ポタージュ同様、野菜にトッピングするディップ&ソースもこの畑からとれたものを使ったそうです。ビーツマッシュポテト、人参葉の醤油クリーム、人参ソース、グリーンピースとルッコラのソース、ベジ出汁の残り野菜と八丁味噌のディップ、大島桜の実とココナッツミルクのフルーツソース。カラフルな食材の色に元気をもらえます。それぞれの食材の身体への効能や根や皮も含めて丸ごと野菜を使い切るフードロスゼロのレシピも横田さんは指南してくださいました。




なんとスイーツも用意していただきました。桑の実のチーズケーキ、ほうれん草と小豆のプチフール。おいしいー!!  野菜や果実の色を楽しく、美しく活かしたレシピは横田さんの著書3pmさんのおやつまみいろいろ」(文化出版局)にたっぷり載っています。




左が横田美宝子さん、右がパラダイスフィールド代表の伊藤 力さん。東京調布市出身の伊藤さんは会社員の家庭で育ち、東京で商社を起業。3.11の際、自分の暮らす葉山ではスーパーの棚から野菜が消えてしまいました。葉山の農家が野菜をつくっているのにも関わらず。なぜ地元の野菜が地域で消費されないのか、流通しないのか。疑念を抱いた伊藤さんは、葉山の石井牧場で農業を手伝い、技術を学んだのち、パラダイスフィールドを立ち上げたのでした。今にいたるまで想像し得ない壁、苦労があったはずですが、伊藤さんの知力、実行力、人間関係能力など、若き農家とのよき出会いを呼び寄せ、葉山の飲食店オーナーとコラボレーションして、革新的な農業を拓いています。ぼくも継続的にこの畑を利用することで地域のことを深く考えていきたいです。

SIGMA DP3 MERRILL