2016年10月17日月曜日

染め分け皿


「ちょっと古い牛ノ戸の染め分けを見かけましたよ」。友人からの情報を得たのは週の前半。売れきれていないかとドキドキしながら、週末、スロージョギング・コース上の古材・古道具店「桜花園」へ。そして窓辺の硝子器コーナーでてらいなく乗せられた皿を目にしたときの嬉しさといったら・・・。友人に感謝です。崇敬する店主・熊田さんの美意識が行き渡る店内。大きな皿を手に久しぶりのここでの買い物。どこかの家が解体されるさいの引き取り品とのことで、驚くほどの安価。6~7年ぶりの顔合わせなのに、スタッフがぼくの顔を覚えていてくれていたのも、すごく嬉しかった。



左は柳宗理さんディレクションの鳥取県・中井窯の黒と緑釉の染め分け。この窯の定番製品として今も人気が高い焼きもの。柳さん以前は、鳥取の民藝新作運動推進者、吉田璋也さんが中井窯近くの牛ノ戸焼に指示をして、染め分け皿を制作。その旧・2色皿を手に入れたのでした(右)。

当初、縁どりに釉薬を掛けず、センターできっちりと2色が混じらないよう求めた柳宗理さんですが、晩年は2色が微妙に交わることを許されたそうです。このあいまいな色の境界に、民藝の美があるわけですが、考えの軟化は工業デザイナーの柳さんが民藝の創始者である父と同じく、民藝的な美を感得した証左でもあるのでしょう。

白と緑、おだやかに混じりあう牛ノ戸の染め分け皿。味わいある佳いものに出合えました。


ぼくの家は玄関と横の収納庫の木戸を桜花園で入手しました。葉山町内の築100年以上の立派な古家を解体したときに引き取ったという門のヒノキ柾目材。南西方向からの潮風にさらされ、いい感じにエイジングしつつ、ここ10年、日々の暮らしを健やかに支えてくれている頑強な古材です。永く使える、愛せる佳いものは桜花園がいつも引き合わせてくれる。毎年恒例の年末セールもそろそろかな。ちょくちょく顔を出さなくちゃ。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm / f1.4 ASPH.