2016年10月20日木曜日

ライカの暗いレンズ


とろけるようなボケ味が夢心地にさせる、ライカのズミルックスやノクティルックスといった開放絞り値f1.4以下の明るいレンズもいいけれど、暗いレンズの描写もまた素晴らしくいい。油絵具で彩られたような濃厚な色合い、影のおだやかなトーン。じっと目を凝らすと、暗いところがうっすらと見えてくるような、コントラストのやわらかさに、ぼくは美を感得する高い感覚、知性を感じます。


現像アプリでモノクロに変換して暗部を少し照らし出す。そんな調整にもなんなく応じてくれる。許容の懐がきわめて深い。陰影のコントラストが強すぎる国産メーカーのレンズとは一線を画す表現。


朝夕の陰影ある斜光の時間帯、開放f4の暗いマクロエルマーレンズを手に散歩写真を愉しんでいると、しみじみとライカのレンズは佳いなぁと感じ入ります。とライカ愛をますます深めていたら、ヴィンテージレンズを現代に再現した、暗く新しいレンズ、ズマロン28mm / f5.6が昨晩発表され、とても動揺しています。コンパクトな外観、造りこみの凄いディテイル、真鍮削り出しのフード。姿かたちが魅力的なのはいうまでもなく、レトロ趣味ではなく、この暗いレンズを再評価し、最新のコーティングを施し、デジタルカメラにフィットさせ、現代に蘇らせる姿勢に痺れます。フィルム風の描写をするというこの一本。高い実戦力、描写の秀逸さを想像させ、たまらなく欲しくなりました。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm / f4