2016年10月12日水曜日

NYの肖像


ずっと観たかったものの、青山での機会を逃していた映画「フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク」が家の近くの逗子「CINEMA AMIGO」で上映されると知り、連休中に観賞しました。マンハッタンの洗練された感覚とリンクするプライベートなシアターで観ると、ぐっと監督シェリル・ダンが描く世界感に感情移入できる気がして、とても稀有な映像体験に心酔。



映画のロケ地と思われる5th アベニューをはじめ路上で、地下鉄の構内で、あらゆるところで絶好の被写体に遭う街。ぼくも以前、取材で訪れたさい、観光名所の撮影のかたわらハッセルブラッドで、そんな魅力的な人たちをスナップしていました。


このマンハッタンをフィールドに、ストリート・スナップを表現の主たる手法としている写真家たちへのインタビューを試みたのがこの映画。肖像権と写真を撮る自由、ジャーナリズムとは。街なかでのスナップについて深く考察。心から観てよかったと感じました。



映画に登場する写真家のような、すれ違いざまにシャッターを押す勇気はとても自分にはない。表情や信条、ふるまいを読み、推し量り、おそるおそる撮影願いを申し出る。勇気を振り絞って、断られたら落ちこむことを覚悟して、声を掛けます。


そうして、承諾してもらい撮影できたときの悦びは快感ですらあります。しかし、その写真をblogや雑誌などのメディアに使用するかどうか、その場で伝えることは稀。そこまで具体的に許可を伺うと、相手が身構えてしまうのではと危惧してしまうからです。プロの写真家、表現者はそのあたりの心情はどうなのか、映画では語られています。ぼくはその言葉の本意を読み解き、ドキドキしながら終始、スクリーンに目が釘付けとなりました。

HASSELBLAD 500 CM , ZEISS PLANAR80mm / f2.8 
KODAK PORTRA400