2016年11月16日水曜日

暖色になごむ


煌々とした無機質な白い光に包まれる仕事場から帰る。家の灯りはスポットでささやかに、空間のごく一部を照らします。闇のなかに、眼を凝らすと浮かび上がるオレンジの光。20年前に女性編集者が営む渋谷・松濤のJMギャラリーで手に入れた川村忠晴さんの、ホウズキ・ランプがいい。ギャラリーでは、この穏やかで温かな灯りを見つめているうちに涙を流した女性もいるらしい。それくらい眼に心にやさしい。


このランプ正面に据えたシェーズロングLC4に寝ころび、ブラウンの古いラジオRT20にiPhoneをつなげて、音量を控えめに大好きな音楽を流す。真空管が温まると、オレンジの光がほんのりとにじみ出てくるさまをお酒の入った民藝のグラス片手に鑑賞。その景色にまた心やすまります。家のリビングが自分にとっての理想的な憩い空間だからますますバーからは足が遠ざかってしまいます。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm / f4